感性をはぐくむ (1995年)

難しいこころの教育

今、子供達の中に起きているいじめ、不登校、自殺などの問題は帰するところ、こころの問題に根ざすところが大きいと恩われます。

関係者は懸命に努力されているわけですが社会全体の問題として受けとめるべき大きな関心事です。

「国家百年の計は人を植うる(教育)にあり」と言われるように、将来の日本を背負って行かねばならない青少年達の問題故、事は重大です。

日本の子供達を世界の子供達と比べると日本が世界一なのは子供部屋の所有率(76%)のみで、以下の項目は最下位です。

 ・ 家庭でのお手伝い(20%)
 ・ お年寄リや身障者に席を譲る率(19%)
 ・ 落ちているゴミを拾う率(5%)など。

又、いじめの場面を見ていて止めに入る率は
 ・ アメリカの中学生で約40%
 ・ 日本の中学生は約20%(日本青少年研究所調)。

目に見えない部分の教育がおろそかに

 日本に長く住んでいたユダヤ人牧師トケイヤー氏いわく「日本には心の教育が無い。知的に覚え込ませる教育はしていても、心にふれ、魂をゆさぶる感性の教育が欠けている」とのこと。

これまでの教育は目に見える部分の知育(知識の教育)に偏リ勝ちの感があります。大脳生理学の説によれば左脳(論理性)ばかりを重視し、右脳(情緒性)をおろそかにしてきたということでしょうか。

本来は論理性と情緒性との交感の指導が必要だったのです。情感を伴わない論理の世界だけでは人間として大切な創造性は生まれ難いし、ものを見たリ聞いたりしての感動や共感もなく、従って美しいとか、可愛い、人や動物などのいのちを大切にする、かわいそう、環境や自然を大切にするなどの心は育たないでしょう。

これまで私達はあまりにも経済優先でこころの教育を置き去リにして来てしまったような感があります。

感性をはぐくむには幼児期

私達は幼児期の子供達に対しては心の教育をもっと大切にして行きたいと考えています。
豊かな心をはぐくみ、心の大切さを見なおし、それをしっかりと子供達に植え付けてあげたいと思います。

幼児期は感性が豊かに育つ上では最適な時期です。情操や感性の教育は急にできるものではないので、私達はまずその環境形成につとめ、あたたかい心のふれあいの中でみんなで育てて行くようにしなけれぱならないと思います。

特に地域社会の中で豊富な生活体験が出来るようにすることや、自然のうちに身につくような環境作リが大切かと思います。

比較的容易な草花・野菜栽培や動物や魚の飼育などを通じて自然とのふれあいをさせたリ、自然環境の整備充実、絵画や手工芸教室などできるものから実行したいと恩います。

以上述べてきた心の豊かさとはもともとは日本古来の伝統文化の中で培われ、世界の歴史上においても絢爛豪華に咲誇り、世界に冠たるものだったのではなかったでしょうか、自信を取リ戻したいものです。

 

参考資料:教育のこころ、梶原康史 広池学園出版部、新しい生涯学習社会の創造(財)富士社会締センター

バックナンバー
創刊号 カオル幼稚園はこのように考える。(1979年)
2 カオル幼稚園はこのように考える。(1980年)
3 躾について (1981年)
5 21世紀を担う子供たちに明るい社会を (1983年)
9 この10年を顧みて (1987年)
10 子供の将来には無限の危険性も (1988年)
11 家庭での子供達の生活空間を考える (1989年)
12 玩具あれこれ (1990年)
13 子供の食習慣と栄養 (1991年)
15 子供達の自主性を育てよう (1993年)
16 やり直しがきかない子育て (1994年)
17 感性をはぐくむ (1995年)
18 遊びについて (1996年)
19 自然に遊ぶ、大地に学ぶ (1997年)
20 父親に期待される子育て (1998年)
21 女性の社会進出と子育て支援 (1999年)
22 思いやりの心を育む (2000年)
23 これからのエリート教育 (2001年)
24 子育て環境は8歳までが勝負 (2002年)
25 メディア漬けから子供たちを守ろう (2003年)
26 これからの子育て支援 (2004年)
27 ことばの教育 (2005年)
28 食育について考える (2006年)
29 真っ当な人間に育てる (2007年)
30 創立30周年にあたって (2008年)
31 「自然」は最良の教師 (2009年)
32 本を読む習慣を付けよう (2010年)
33 群れ遊びについて考える (2011年)
34 こどもには沢山の体験を (2012年)
35 美徳を取り戻そう (2013年)
36 国際化とこども教育 (2014年)
37 子ども・子育て新制度を考える (2015年)
37 リーダーを育てる (2016年)