(創刊号) カオル幼稚園はこのように考える。(1979年)

幼児教育の危機

幼児の教育はその生涯を左右する最も大切な時期です。

即ち幼児期は身体の発育と共に、心の生長が盛んで性格や情操の形成期であり、この時代に身についた習慣や知能は人格の根幹となり学校・家庭及び社会生活の方向づけとなります。

『三つ子の魂百まで』とはこのことを申したものです。

ところで現在大きな社会問題としてとりあげられている青少年の非行化、自殺、又は中学・高校等の落ちこぼれ、更に家庭における親子の断絶などの主たる要因が、幼児期の過保護や甘やかしによるとされています。

こうした問題にとりくみ、その解決をになうのが幼稚園教育の責務でありましょう。勿論、父母の家庭教育はその底辺をなすものです。唯今、就園している幼児の70%前後が私立幼稚園に学んでいますが、こうした社会的問題の解決が私共社会的使命と考えます。

ところで私立幼稚園は、その経費の大半を父母の負担によるもので経営上に多くの問題をもっているときいています。例えば、園児を多く集めるために流行を追い、父母に迎合して人気とりの経営なども聞かれます。

幼児教育は人間形成の基礎時代ですから、そのようなことは慎しむべきでしょう。こうした経営の下で学んだとすれば、子供の能力が十分に生かされず、表現能力や豊かな情操に欠け、仲間に対する友情も乏しく、意志の弱いわがままな子とか、他人となじめない問題児をつくることもあるといわれます。

さらに人気取りの為、小学校教育の領域へ手をつけて、難しい数学や文字の指導で親の競争心をあおり小学校入学後、逆に努力型の子供に追い越されて自信を失い、劣等感を抱き落ちこぼれや、学校ぎらいになった例もあると報告されています。

要するに、幼児教育の基本路線をふまえて、着実な経営は地味で目立たないけれども、子供たちにとっては幸福であり、将来有為な人材育成となりますので、私共は常に反省自重して大切な子供たちの育成に努力し、次の方針を堅持しています。

私たちの幼児教育に対する使命

 カオル幼稚園は、真の幼児教育とは何かを徹底的に追求し、幼児教育にふさわしい教育理念と施設の充実を続けてきました。その結果次のような目標を設定して、内容の具体化をはかりよい子の育成に当っています。

   1) 健康な身体づくりに必要な習慣を身につける。

   2) 社会集団生活の中で個人的・社会的にのぞましい習慣を身につける。

   3) 言語正しい言葉のしつけや言語活動・発表能力を身につける。

   4) 自然を愛し観察カ・知的興味を高める。

   5) 音楽幼児期.のするどい感覚をのばし豊かな情操を養う。

   6) 美術創造的表現能力を身につけやさしい心情を育てる。

 これら6つの領域は、幼児教育の基本的な分野であり、これを達成するために次のようにとりくんでいます。

   イ. 先生自身の指導力を最高のものとするために、研修と教養の向上をはかる。

   ロ. クラスの園児数を少なくし、行きとどいた指導をはかる。(3年保育25名、2年保育35名以下)

   ハ. 家庭に幼児教育の重要性を理解し、協力していただくようにつとめる。

 私共は、子供達が幼稚園時代を無難に過していくことで、責任を果したとは考えません。

  将来立派に成人し社会のリーダーとし、あるいはリーダーと生活を共にしていく、よい市民となる基礎づくりを果すため、巾広い視野と豊かな人間性を育てることをモットーにした幼児教育を推進しています。

広大な自然をバックにした教育

 教育は3つの要素より成るといわれます。

   ・ 子供のもつ素質、

   ・ 自然や社会の環境、

   ・ 教育者の指導力がそれです。

 素質については先天的な要素が言われてきたが、環境や指導力はそれ以上に大きな影響力をもつとされている。

 正しい教育観と指導力をもつ教師のもとで、よい自然環境の中に子供を育てることは最も教育効果をあげるものです。

 こうした考え方に立って、カオル幼稚園はよい教師を揃えて正しい躾けを行い、豊かな緑と整備された施設の充実につとめ、楽しく毎日をすごさせるように努力しています。

 富士や秩父連峰をのぞむ豊かな田園は、大きく伸びる人間形成には最適な環境と思います。すぐれた人材が素朴な田舎より生れている事実で理解されましょう。

"自然の中で遊び強くなろう"というのもこうした発想から生れたものです。

むすび

 カオル幼稚園が、以上のような方針で運営されていることを簡単に申し上げました。

"よい子を育てて社会に奉仕する"のがカオル幼稚園設立の精神です。

百聞は一見にしかずと申しますが、是非、カオル幼稚園の園児の行動力や環境をご覧下さい。歴史は浅くても、私共関係者は皆様の期待に添える、高品質の幼児教育を提供して来ております。家庭の幸福は後継者として子供が立派に成人することです。

皆様方の幼稚園として、よりよく発展させていただくため、建設的なご意見とご協力をお願いしてカ才ル幼稚園の考え方を紹介申し上げます。

バックナンバー
創刊号 カオル幼稚園はこのように考える。(1979年)
2 カオル幼稚園はこのように考える。(1980年)
3 躾について (1981年)
5 21世紀を担う子供たちに明るい社会を (1983年)
9 この10年を顧みて (1987年)
10 子供の将来には無限の危険性も (1988年)
11 家庭での子供達の生活空間を考える (1989年)
12 玩具あれこれ (1990年)
13 子供の食習慣と栄養 (1991年)
15 子供達の自主性を育てよう (1993年)
16 やり直しがきかない子育て (1994年)
17 感性をはぐくむ (1995年)
18 遊びについて (1996年)
19 自然に遊ぶ、大地に学ぶ (1997年)
20 父親に期待される子育て (1998年)
21 女性の社会進出と子育て支援 (1999年)
22 思いやりの心を育む (2000年)
23 これからのエリート教育 (2001年)
24 子育て環境は8歳までが勝負 (2002年)
25 メディア漬けから子供たちを守ろう (2003年)
26 これからの子育て支援 (2004年)
27 ことばの教育 (2005年)
28 食育について考える (2006年)
29 真っ当な人間に育てる (2007年)
30 創立30周年にあたって (2008年)
31 「自然」は最良の教師 (2009年)
32 本を読む習慣を付けよう (2010年)
33 群れ遊びについて考える (2011年)
34 こどもには沢山の体験を (2012年)
35 美徳を取り戻そう (2013年)
36 国際化とこども教育 (2014年)
37 子ども・子育て新制度を考える (2015年)
37 リーダーを育てる (2016年)